2011年5月28日土曜日

皮むき間伐の意義

 日本熊森協会は奥山を保全するための活動を行っていますが、その活動は大きく2つに分けられます。
・1つは原生林を買い取って永久保存するトラスト運動。
・2つ目が拡大造林政策によって奥山まで植えられてしまった杉・檜の人工林を自然林に戻していくこと。

 人工林の中でも、8割が放置されて手入れをされていない荒れた人工林だといわれています。それらの放置人工林は皆伐して一から植樹するよりも、強度間伐して光を入れるほうが自然林に還るのが早いことがわかりました。日本の山はほとんどが光を入れるだけで下草が生えてきて、土壌に隠れていた種や鳥が運んだものが自然に芽を出し、2年、3年ほどで何メートルにも育ちます。皆伐すると土壌が流出してしまい、下草刈りなども大変で鹿などの食害にもあいやすいですし、植樹はどうしても人間の知恵で行うので、自然に戻すには限界があります。強度間伐は人間が最初に光を入れることだけをすれば、あとはほとんど自然の力で戻っていくのです。
 間伐方法の中でも、子供でも誰でも、ボランティアの力でできるのが皮むき間伐です!あまりに手入れをしていない人工林は、細すぎて一本では立っていられません。伐ってしまうと倒れる恐れがありますので、皮むき間伐をして立ち枯らせることによって、周りの木を支えながらゆっくりと朽ちていきます。一年かけて葉っぱが落ち枝もだんだんと落ちていくので、光が入ってどんどん自然の植生が蘇ってきます。私はそのよみがえりつつある森を見ましたが、本当に明るくて気持ちよく、動物たちが戻ってきた跡もあってうれしかったです。
 日本中にある放置人工林を、皮むき間伐によって蘇らせましょう!皮むき間伐の方法は「鋸谷式 新・間伐マニュアル」(社団法人 全国林業改良普及協会 893円)というB5判の冊子に基本が載っています。とても勉強になってイラストが多く読みやすい薄い本なので、みなさんぜひ読んでみてください。

http://www.amazon.co.jp/%E9%8B%B8%E8%B0%B7%E5%BC%8F%E6%96%B0%E3%83%BB%E9%96%93%E4%BC%90%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E2%80%95%E5%BC%B7%E5%BA%A6%E3%81%AE%E9%96%93%E4%BC%90%E3%81%A7%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E5%B1%B1%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B-%E5%A4%A7%E5%86%85-%E6%AD%A3%E4%BC%B8/dp/4881381253/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1306245988&sr=8-1